携帯電話から漏れ出る電磁波に悦びを覚えたのはいつだったであろうか。
PDAと合わせて持ち運び、デジタルデータを電磁波に載せて。
いつしかそれらは一つの端末になり、スマートフォンと呼ばれた。
その過渡期には個性豊かな端末が登場しては消えていき・・
そうして一枚の板となった。
個性はケースやカバーという、軽量化や小型化に逆走するパーツで表現するように。iPhoneにいたってはストラップすらも許されない。
そうなってくると何も着けない、標準状態のスマートフォンが愛おしくなってくる。落として付いてしまった傷がカスタマイズだと言わんばかりに。
しかし、落下させると性能に影響をおよぼすような傷ばかりが生じてしまう脆弱さも顕著になってきてしまった。
分解してカスタマイズしようにも防水性が不安になる。
それに、作業時の破損は代償が重くのしかかる。
結局、行き着くのは裸族。電磁波を発する愛おしい端末は、何も着けないのだ。